惨姉妹との日常 : 最新の投稿
キンヴリエーミァ  (投稿時キャラデータ) 芥山 2019-12-23

英雄と称され初めてどれ位か、思えば遠くに来たものだ……そんな適当な物思いに耽る事もある。
元々、名前を上げて行くことは望んでいたものの、ここまで来るとは思っていなかった。
いっそこの先どこまで行けるか……そう思う部分もある。キリが無いんじゃない? とも思う。
ともあれ、それなりに名が知れ渡るなら、出来るだけ相応の立場や振舞は取ろうと努力はしている。
自分だけでなく、周囲の為にもなるのだから。

そんな理由もあって、今僕は結構大きめの家を借りている。
騎獣の世話も在るし、庭や厩舎も充実している。正直住人よりスペースを取っているが仕方ない。
ここまで広いと不便さもあるけど、ゆくゆくは買い取ってルト君と暮らすのも良いと思う。
……いや、それでもちょっと広過ぎるかな?

つまるところ、部屋は余りまくっている訳で、誰かに……特に家族に貸す事に異論はないんだ。
だから、割と唐突に実家から姉上がやって来ても、別に問題は感じなかった。
けど流石に三人の姉上が全員来るとか、ちょっと聞いてない。
あれ、そんなにヤバイのうちの村? 元々ナイトメアの大叔父さん居て風当たり強かったけど。
大叔父さんと仲の良い同年代が寿命で居なくなって、残った風聞だけで悪い方に空気が流れて行っちゃったと。
……大丈夫? ヴィリ姉もキア姉も結構上位の神官やってたじゃない。
やっかみが酷くなって出ざる得なくなった? 姉上レベルでも??? あ、うん、御疲れ……。
ぶっちゃけ僕とダー姉、二人見て報われなさっぷりに神官の道進まなかったんだよなあ。納得しかない。

そんなこんなで、広い屋敷に家族4人と騎獣沢山。それなりに賑やかになった。
特に、姉さん達の家事スキルには助けられる。身内贔屓抜きでもプロに近いと思う。
洗い物も掃除も、量が馬鹿にならないからね……。
ただ、全員食事の量は多めなので、倉が一つ備蓄で埋まっちゃったけれども。
今朝だって大鍋一つ使い切る位の量だった。
食後のお茶も全員ジャムを混ぜる派なので消費が早い。

「……ところでさ」

家族全員の揃った食卓で、食後のお茶で一服している時、僕は意を決する事にした。
テーブルの空気に軽い緊張感が走る。流石姉上方、切り出し方一つで警戒心を上げておられるわ。

「結構長い事一緒に暮らしてるけどさ、うん。改めて言うけど別に本気で追い出そうって気はないのだけどさ」
「姉さん達も心配してくれて一緒に居るんだろうし、感謝もしてるんだよ?」

家を出てから傭兵団入って、初恋相手に裏切られて壊滅からの冒険者暮らし……。
うん、その上で恋人出来ました、とか逆の立場なら僕も結婚詐欺を疑うね!
幸い、ルト君とは仲良くなってくれたので安心だけれど。て言うかルト君の食い付きも凄かったけれど。

「安心して、って僕の方から言える訳じゃないし、これからもちょくちょく刺して行く位で良いかなって思うんだけど」

「お、お姉ちゃんはそれも良くないと思うかな! 安心はしたんだけどっ」

ヴィリ姉からの抗議が入る。けど仕方ないよね、長女だもの。年齢的にも刺すよ、そりゃあ。
キア姉はテンパり始めると静かになるから放置して良いとして、ダー姉も若干恨めし気な目だ。
よし、気にせずいこう。

「ともあれ、大事なのはそこじゃないんだ」

「あっさり流さないで!? って、他に何かあるの?」

「うん、姉さん達だっていろいろ考えてるんだろうけどさ……もしかして、さ」

「いつか誰かに嫁入りする時にこの家出て行こう、とか夢見てないよね???」

三人とも一斉に顔を背けたね、一糸乱れず。

「いや、夢を見るのは良いんだ。叶ったら僕も祝福して見送るし。けど、夢に向かって具体的な努力とか、最低限計画とか練ってるのかな……って心配になってさ」

うん、最終的な結果がそうなるなら、僕は本気で祝福するつもりだ。
……ルト君と結婚の予定とか話してると、きゃーきゃー言いつつ乗ってくれたからなあ……。
もしかすると結婚に対して「実は身近な出来事なのでは???」
などと勘違いしかけてるのかもと探りを入れて見たら……大当たりだったね! 大体察してたけど!

「ごめんねキー君、お姉ちゃん神殿に大切な用があるの思い出したの」

「こういう時躊躇なく逃げる決断するよね」

「待ってくれ姉さん、私も用があるから一緒に行こう」

「キア姉もこれ幸いと追従するよね」

「あたしは部屋に戻るから、キーちゃん罰として片付けは全部すること。良いわね!」

「最早理不尽の極みだよね???」

ヴィリ姉とキア姉は本当に慌てて出て行った……。嘘の付ける柄じゃないし、用事自体はあったんだろう。
午後から出る予定を早めたとか、そう言った所だろう。

「姉さん達午後に出る筈だったから、お弁当作って無かったわ」

そして何事も無かったかのように戻ってくるダー姉。

「ダー姉のその切り替えの早さ、ぼかぁ好きだなあ……ところでさっきの返答なんだけど」

「うるさいわねだまりなさいころすわよ」

「イエスマイサードシスター」

あ、片付けは本気で僕一人にさせるんだね……綺麗に食べてるから楽だけどさ。
……お弁当とか欠かさないから、姉さん達を食事に誘う口実とか潰してるんじゃないかなあ……。
いや、よそう。僕の勝手な推測で厚意を無碍にしたくはない。
…………一応、お弁当持って行く時様子見しておこう。

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キンヴリエーミァの キャラクター日誌の履歴
日誌タイトル PC 日付
姉弟仁義 キンヴリエーミァ 2019-07-04
得るもの、失うもの キンヴリエーミァ 2019-03-02