~遺跡に向かう馬車にて~
別名、飲み干せる月、シーンの涙。
お酒を好んで飲むことはありませんが、シーン様の名を冠することからその存在は知っていました。
とてつもない銘酒であると。
なにより、その製造方法です。
専用の酒瓶を使うとはいえ、月光に当てるだけで味が変わるほどに魔力が貯えられたとは、魔法文明時代のマナはどれほど豊富だったのでしょう。
~依頼達成後~
私にとっての初めての遺跡探索。
学べたこと、書かなければならないことは多くあるのに、うまくまとめることが出来ません。
「美味しい」とは度が過ぎれば暴力的ですらあるようです。
素晴らしいものにひとは執着し、それはいつしか穢れへと変わってしまう。
明日からより一層己を律して生きねばなりません。
フルシル様、懺悔いたします。
生まれて初めて私は、アンデッドとなってしまったひとがいたことに「良かった」と思ってしまったのです。
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