今日、始祖神の神官様をこの手で殴りました。
いくら、その方がしていた事が許せなかったとしても。
名誉人族な蛮族に因縁をつけ、捕らえ、金のために拷問していたのだとしても。
ユエディンさまの言うように彼らに襲いかかる理由までは無かったのかもしれません。
穏便に終わらせられたのかもしれません。
でも僕は彼が喋っていることを理解したその瞬間には手が出ていました。
彼を殴り倒した後に鎚鉾を振り上げた僕が抱いた気持ちは、紛れもない殺意でした。
もし、この手を振り下ろしてしまったら
もし、彼を殺してしまったら。
僕は二度と立ち直れなくなっていたでしょう。
止めてくれたゼニミーさんに感謝しないといけません。
正しい事って一体何なのでしょうか。
それはまだ分かりません。
名誉人族の事、盗賊ギルドの事、スラム街の事、商人さん達の事情、それに、人族同士で争う事。
いろんな事を一度に体験しました。
僕は、僕自身が何をしなければならないのか、考えなければいけないと思いました。
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