日誌その1:サンダーバードと三日月の夜空 : 日誌
フローディ  (投稿時キャラデータ) kari-rice 2019-08-12

 魔動機文明時代には「サンダーバード」という進化した飛空船を駆使する男たちのドラマがあったそうだが、今回の冒険は彼らの記録に恥じず、胸の破れるような鼓動が収まらないものとなった。
 まず、いきなりサンダーバードの卵を取って来いと言われたこちらの身にもなってほしい。遠くテラスティアの冒険者なら、とても今の私たちが叶う相手でもなかったはずだ。
 そしてPTを組んだ冒険者達─真語魔術師のディエス君、前線を守る勇ましき神官ハリ君、IAIを用いる戦士ザキ君、ドワーフらしからぬ膂力を持つアルマ君─彼らの冒険心は人並み外れたものだった。確かに「冒険者」とは冒険をする者だろうが、主たる依頼を差し置いて進路とは別の道を歩むと言った瞬間、石化を持つ恐ろしき蛇との闘いの時は正に冒険と例える他なかった。
…別に、怖くなんてなかったし?怯えて眠れなかったなんてそれこそ有り得ない。そうだろう?
 扨て、私はただ愚痴を垂れるだけの人間ではない。吟遊詩人は口だけだが、冒険者はそれ以外も動かすものだ。例えばあの崖登りは最高だった。あの刹那、私は野山を我が物顔で駆け回る肉食獣に、
愚かにも立ち向かう蛮族に引導を渡す勇者となっていた。或いは目も働かせたさ。雷鳥が星瞬く夜に産んだ卵の煌めきは、あらゆる宝石に匹敵するものだった。ザキのIAIの技術も、最初は大丈夫かと内心思ったものだが、気が付けば夜空に三日月を灯す物語のハイライトとなった。
 成る程、ただの吟遊詩人ではここまで刺激的で疲れる体験などできなかったはずだ。冒険者とは、実に興味深い存在だ。

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