文字:

20181030_0 SW2.5/2.0 セッションログ : 百の剣亭 Cルーム : 2018 年 10 月 30 日

2018/10/30
SYSTEM
14:30:20
GMペナルティ様が入室しました。
#
14:30:44
 

 
 
 

 
 
 
 
14:31:36
 
 友の死が、君に伝えられた。
 
 何のことはない、よくあるような蛮族討伐の最中であったという。
 救援が辿り着いたとき、友を含む冒険者の一団は、全滅していた。
 
 亡骸は回収できたが、一つ問題があった。
 蘇生費用が、装備などを売り払っても半分ほど足りない。
 残り5000、蘇生に応じて当人が後払いするならば即金は2500――
 それが、操霊術師の譲歩だ。
 
 君は、自らの資産から即金分を手渡し、そして立ち会うべく儀式の間を訪れる……。
 
14:32:11
 
 円と直線、数多のルーンで織りなされた魔法陣上、一つの亡骸が台座の上に横たえられている。
 おそらくは儀式の集中を妨げぬように防音を担う厚手の垂れ幕が、周囲の壁に張り巡らされている。
 真上、円形の天窓が配されているのは、霊魂を招き寄せやすくする儀礼の様式なのだろう。
 そこから僅かに射し込む月光の束の他は、周りの燭台の明かりだけが照らしている。
 全身を呪術的な意匠の長衣で覆い、目許のみを露わとした操霊術師が、その傍らに佇む。
 
SYSTEM
14:36:24
ラズ様が入室しました。
#
14:36:32
 
 儀式の間に入室した君に、操霊術師は目礼のみ行ったのち、
 声をかけることはなく、静かに儀式を始めた。
 
 魂に呼びかける魔法文明語の詠唱を勤めていく。
 劇的な変容があるわけではない。ただ、呪術めいた韻律は、肉体に具わるべき魂を探し、招き、導く。
 帰路を容れるか否かまでは、力及ばぬこと。
 魂に穢れを刻まれようとも、戻る理由があるかどうかは術師にも判らない。
 而して。
 
 この半刻の内、君の胸を去来するのは、やはり彼女との思い出であろう。
 
 心に浮かぶ、彼女の名は?
 
ラズ
14:37:53
じゃあミリーで
14:41:07
「(まったくドジ踏むやがったもんだな、ミリーも)」
14:42:47
「(しかし蛮族に囲まれて殺されるってのは自分のことみたいでいやになるぜ)」自身の死んだときを思い出しつつ
#
14:44:10
 今、その一糸まとわぬ青白い肢体の上に、首から下を覆う白布をかけられている姿は、
 ラズが知っていた普段の彼女は、随分と雰囲気が異なる。
 君も、かつて命を落としたときは、ああだったのだろう。
 魂が離れた、冷たい肉……死んでしまえば、誰でも同じだ。
 
 君の追憶は、この時を離れ、過日を暫し、彷徨う……。
14:44:58
 

〈数ヵ月前――〉
 
14:47:34
 意気投合……という仲であったかはさておき、
 いかなる友であれ、初めて出会ったときというものは存在する。
 
 それは数月前、君がブランブルグを訪れた後のことだろうか。
 おそらくは冒険者になる前後のことだろう。
 
 君が彼女と出会った場所は――
 ――想起する場所を、思い描こう。
ラズ
14:48:57
「(アイツと初めてあったのは・・・、この街に来てすぐで良くわかんないうちに適当に会った酒場だったな)」
14:49:07
入った酒場
14:52:25
「(あんまり金持ってなかったから高かったら体で払うとか言わんといけなかったな、あのころは」
#
14:54:06
 その晩、酒場〈平等なる砂時計〉亭という、あまりガラはよくないが雰囲気のある酒場に入った君は、何杯か飲んでいた。
 やや薄暗い店内、物々しい仮面をつけた男に、近づこうとするような客はいない。
 常連客であろう者達からは、奇異の視線を受けるものの、見返したりしようものなら目を逸らしてしまう。
 
 気付けば、随分と飲んでいる。
 
 長身のバーテンダーが、言いにくそうに、
「お客さん、すいませんが、そろそろお代の方をいただけますかねえ」
ラズ
14:54:58
「おうすまないな、随分雰囲気がよくて飲んじまったよ、いくらだい?」
14:56:32
「後はかわいい女の子でもいればもっと良かったんだが・・・」
14:57:42
「まあないものねだりしてもしょうがないな」
#
14:57:58
「へい、ボトル一本空けちまいましたんで、こんぐれえになりますが……」
 
 店内の壁に並ぶ酒の価格表を、バーテンダーは片手で示し、
 君の乏しい路銀残りの三倍程度の額を口にした。
 ふっかけているということはなく、価格表の通りだ。
 
「うちは、そういうのはやってねえんで……裏通りか、貧民窟の方に、いい店はありやすがねえ」
ラズ
14:58:41
「(マジで飲みすぎたな・・・)」苦笑い
14:59:22
「ここは皿洗いとか募集したりしてるかい?」
15:01:07
「用心棒の募集でもいいんだが・・・(どちらかというとその用心棒にしめられそうな気もするが・・・)」
#
15:04:18
「皿洗い……」
 
 いかつい仮面の男が、皿を洗っている光景をどうしても想像できないのか、
 タビットの重戦士を見たかのような顔で、バーテンダーは首をひねった。
 首を横に振り、何かを――おそらく、いいえと、答えかけたとき、
 
 スイングドアが軋み、軽戦士風の武装をした若い女が、悠然と店に入ってきた。
 常連客の一人が、ヒュウと口笛を吹く。別嬪であった。
 
 女は、バーテンダーとやり取りしている怪しい男にも物怖じしたふうなく、
 その横でカウンター席に座ると、
 
「マスター、いつものちょうだい、ボトルでね」
 
 と笑いかける。
 それからようやく、ラズの方を一瞥して、へえ、という表情になった。
 仮面に興味があるらしい。
ラズ
15:05:35
「これはまた別嬪さんの登場だな(金持ってるときに出会いたかったぜ)」
15:06:06
「よくこの店には来るのかい?」
15:06:19
>軽戦士
#
15:09:11
「おや、ミリーさん、羽振りのいいことで。今回の冒険も成功のようですなあ」
 
 バーテンダーは、先ほどラズが飲んでいた酒と同じものを瓶ごと、グラスと共に、女の前に出した。
 ミリーと呼ばれた女の方は、艶やかな赤毛を背へ流しながら、屈託なく笑って、

「そりゃもう。金のやり繰りに苦労するのは、駆け出し冒険者くらいのもんだよ。
 ――おや?」
 
 ラズの方に置いてある杯に顔を寄せて、くんくんしてみて、
 
「へえ。あなたも、これ飲むんだ? じゃあ、一杯、奢らせてもらえる?
 ああ、うん、仕事明けに寄るのが、倣いになっちゃってて。
 生きて帰ったぞー、成功させたぞー、って実感があるでしょ、祝杯って」
ラズ
15:11:02
「一杯じゃなくて一瓶奢ってくんないか?」
15:11:32
「金のやりくりに苦労する駆け出し冒険者になったことを忘れててな」
#
15:14:24
「別嬪だなんて、照れるなー。
 あなたも、うーんと、そこそこいけてるね」
 
 悪戯っぽく言って、ミリーは、酒を注いだグラスを軽く持ち上げてみせる。
 淡い琥珀色の液体越しに、笑みを結ぶ彼女の唇が見えた。
 
「一瓶、奢っちゃったら、あたしが飲む分、ないじゃない……。
 ……あ、なるほど。もめてるなーと思ったら、お金ないんだ」
ラズ
15:15:28
「奢りじゃなくて借りにしてくれてもいいぜ、俺は借りは必ず何倍にもして返すからお得だぜ」
15:16:03
「みてのとおり信用できそうないい男だろ?俺は」
#
15:17:46
 うーん、と娘は両腕を組んで、思案するフリをする。
 その腕に上に、双丘の輪郭が乗り強調されるかのようだったが、それは意図してではないようだ。
 
「しょうがないなぁ。依頼を成功させて気が大きくなってる今だから、特別にだよ?
 あは、何倍にしても返すって、博打でスった亭主が嫁さんに言い訳するときの常套句だね!」
ラズ
15:18:47
「おりがたいぜ、あんた良い女だな、俺はラズだ」
15:19:23
「見た目もよければ気風もいいときたもんだ、ほれちまいそうだぜ」
15:19:49
「ところで依頼を成功ってことは冒険者なのか?」
15:20:02
「傭兵って感じもしないしな」
15:22:48
胸に視線がちらちらいくのがばれなければいいのだが・・・
#
15:24:02
 いいんですかい、と怪訝そうに確認するバーテンダーに、
 いいのいいの、と娘は気楽そうに言って、ボトル二瓶ぶんの銀貨をカウンターに置いた。
 合わせて、小型のマギスフィアを買えそうなくらいの額だった。
 冒険者の金銭感覚というものは、やはり一般市民の理解の及ぶものではないのだろう。
 
「ミリオネアっていう、すっごくお金持ちっぽい名前だよ。
 さすがにアレだから、ミリーで通してるの。よろしくね、ラズ。
 一目惚れと初恋は、たいてい実らないと思うなぁ……」
 
 次いで、こくんと頷き、両腰につけたメイスを示す。楽器も兼ねている代物らしい。
 
「そうだよ、冒険者。駆け出しを抜けて、中堅に入ったってところかなぁ」
ラズ
15:25:35
「なるほどね、先輩ってことか、面白い武器使ってるんだな」
15:26:01
「俺のメイスとはえらい違うぜ」
15:26:49
自分のヘビーメイスにごてごてと金属貼り付けて重さを増したやつとは違う
#
15:27:57
 二十歳をこえたくらいと見えるが、
 無邪気に笑うときはどことなく幼げで、より若く見えるし、
 会話の合間には、逆に、おとなびた表情も見せる。
 
 ラズの言葉に、にっこりとして、
 
「そういえば、あなた、駆け出し冒険者って言ってたっけ。
 でも、そのわりには、こう……うん、雰囲気があるわね。百戦錬磨というか。
 あたし、最初の頃はナメられてて、そんな箔はなかったなぁ……」
ラズ
15:29:18
「傭兵を長いことやってたしな、色々あって鞍替えしたとこだがこういう仕事が初めてってわけではないんだ」
15:30:26
「まあ全然ひよっこだから、色々教えてくれよな先輩」にやっと笑いつつ
#
15:30:45
「傭兵さんかぁ……じゃあ、あまり先輩風、吹かせられないね!
 経験自体は、あなたの方が、ずっとありそう」
 
 両方の杯へと酒を注いだ後、自分のものを軽く掲げて、
 
「それじゃ、窮地のラズが、お酒を奢ってくれる別嬪さんと出会えたことに、乾杯!」
ラズ
15:31:21
「窮地を救ってくれた別嬪に乾杯」グラス合わせて
15:33:15
「この酒は今日初めて飲んだが美味いな、癖になりそうだ」
#
15:33:20
 こくんと一口を飲んで、娘は少し頬を赤くして、ご満悦の表情だ。
 
「うんうん、この、お腹にジーンって熱く染み込んでいく感じ、素敵だよね。
 いつも一人だったけれど、他のひとといっしょに飲むお酒も、なんだか楽しいね!」
ラズ
15:33:57
「そいつは良かった、俺でよければいつでも付き合うぜ、ミリー」
15:36:01
「次は俺が奢るぜ」
#
15:37:27
「ナチュアルに口説くなぁ……傭兵さんって、そういう人、多いのかな?」
 
 気を害したというふうでもなく、茶目っ気のある語調だったが。
 
「いいよ。あ、でも、奢るのはナシにしよ。
 今度はこっちが奢る番だから~っていうの、なんだか面倒で、あまり好きじゃないの。
 義務になっちゃうと、こう、うーん……うまく言えない。まだ一口目なのに」
ラズ
15:38:02
「オーケーそうしよう、次はなら俺が金持ってるときに誘ってくれ」
15:38:48
「この稼業はいつ死ぬか分からんからな、いい女を見つけたら口説くべきだろう?」
15:39:20
「次があるかわかんないんだしな」
15:40:31
「ミリーも後悔しないようにしたほうがいいぜ、まあ余計なお世話かもしれんがな」
#
15:41:37
「いつになることやら。期待してますねー、凄腕傭兵のラズおにいさまー」
 
 酒が回りすぎたわけではなく、彼女なりに、じゃれているようなものなのだろう。
 杯に唇を当てて、続く言葉には、小さく溜息をつく。
 
「そうだよねえ……毎日が、命のやり取りだもんね。
 ……あは、そうする。だからって、相手構わず誘ったりしないけれどね!
 というか、あたし、まだ……ぁー、ううん、なんでもない」
15:42:13
「よし、メイスの話をしよ!」
 
 ミリーは、話題を逸らした。
ラズ
15:42:21
「相手は選んだ方がいいぜ」
15:42:45
「俺みたいなのがいいと思うぞ」逸らさないで笑ってる
#
15:43:06
「そ、そうだよね、メイスはよく選ばないとね」
 
 意地でも逸らした。
ラズ
15:43:15
「まあ冗談はこれくらいにするか。何でそんなメイス使ってるんだ?」
15:44:15
「楽器みたいにもみえるが」
15:46:17
「まあ軽そうだから軽戦士にはちょうどいいのかもしれんが」
#
15:47:31
「まったくもー。
 ……でもね、逆に、こうも思うんだ。
 明日がわからないから、好きになったり、なられたり、するのがちょっと怖いなって。
 ある日突然、いなくなったら……残したり、残されたり、する方はどうすればいいの?
 だからね、引退するまでは、その……恋とか、しないって、決めてるんだ」
 
 そこまでを一気に話した後、酒杯を一口。
 
「あ、これはね、そう、楽器。
 あたしはもともと、歌い手だったの。故郷じゃ、そりゃもうベタ褒めされたんだから。
 でも、街に出てきて……劇場じゃ通用しなかった。あたしより上手な人は何人もいた」
15:48:31
「それで、運よく、知り合った冒険者のひとに、剣を教わってね。
 かといって、音楽から離れるのも、なんだか癪で……あは、未練かなー」
ラズ
15:48:44
「・・・」聞きながら酒盃を一口
15:49:05
「いいんじゃないか?別に無理して断ち切ることは無いだろ」
15:51:02
「ミリーはそれで中堅どころまで駆け上がってるんだし、お前にあってるんだろ」
#
15:51:16
「そっかな。うーん、そう言ってもらえると、なんだか救われるね、えへへ」
 
 ミリーは嬉しそうに微笑んで、
 
「うん、それでね、このメイスをぶんぶん振り回して仲間のために囮をして、呪歌で確実にトドメ!
 っていうのが、あたしのスタイルだよ」
ラズ
15:52:19
「なるほどね、バードも出来るってことか、それで楽器も使うってわけだ、器用なもんだな」
15:53:54
「俺はそんなことできないし、やっぱりミリーの歌で助けられてる奴もいるんだしもっと胸はっていいと思うぜ」
#
15:54:45
「大人数で混戦するような戦場じゃ、きっと通用しないだろうけれどね。
 ゴブリンくらいなら、余裕でイチコロかなー」
 
 ちょっぴり得意げに、豊かな胸を張ってみせて。
 
「ありがと。……下心があるんだかないんだか。でも、どっちでも、ありがと。
 ラズは、きっと、こう……なんていうかもっと武骨で実戦的なやつだよね、きっと」
ラズ
15:55:41
「まあな俺は単純に重いもので力いっぱい殴りつけるだけだしな」自分のメイス見せて
15:56:15
「普通のヘビーメイスじゃ軽いからな、重りつけて威力をあげてるんだ」
#
15:56:23
「うわあ、もあへびーだね~」
 
 酒の入りもあってか、語彙が少し飛んでいた。
ラズ
15:57:05
「これくらいないと鎧の上からつぶすのは難しいしな」
15:57:48
「大丈夫か?俺が言うのもなんだが飲みすぎんなよ?」
15:58:29
「ミリーみたいな別嬪だと酔わせて連れ込もうとする悪い狼におそわれるぞ」
#
15:59:15
「そっかぁ……戦場はやっぱり大変だね。
 あたしの終律も、鎧着込んだガチムチのボルグとかをばしゅーんするためのものふぇ……」
 
 頬の赤みが少し増していた。
 笑顔も、ぽわーっとしたものになっている。それはそれで魅力的ではあるのかもしれないが。
16:00:16
 バーテンダーが、小さく嘆息して、
 
「いやあ、ミリーさんは、毎回、酔い潰れて寝ちゃうんですよ。
 それが幸せなひととき、らしいです――いつものことなので、大丈夫ですよ」
ラズ
16:01:12
「そうなのかい?まったくなんと言うか無防備な・・・」
#
16:02:52
「あはー、だってぇ、お仕事のときって、緊張するふゃない?
 それこそぉ、一歩間違えれば、さっくり、死んじゃうわけだしぃ……。
 そんな緊張感をね、さっくりリセットしてぇ、気持ちを切り替えて生活するにはぁ、それがいちばんなんだよ~」
 
 わかるでしょー? わかるよねー?
 と、訴えるような眼差しでラズをうるうると見つめていた。
ラズ
16:03:01
「俺が言うのもなんだが迷惑な客だな、ミリーも」
#
16:03:17
「がーん……」
 
 うるうるが増した。
ラズ
16:03:25
「だが気持ちは分かるぜ」
#
16:04:08
 バーテンダーは苦笑して、
 
「いえ、まぁ、上客ですんで。
 あっしもこの商売、長くさせてもらってますんで、わかるところもありますからね……」
ラズ
16:04:25
「俺だっていつ死ぬかわかんないから気分転換のために別嬪を口説いてるんだしな」
#
16:05:25
「そっかぁ……じゃあ、がんばって、口説いてねえ……ふれーふれー、ラズぅ」
 
 呂律が少し回っていないが、諧謔ではなく、応援は本心からであるようだった。
ラズ
16:06:28
「ああそうするぜ、ミリーも今日はしっかり飲んで気持ち切り替えろよ、手伝ってやるから」
16:06:43
酒をグラスについでやりつつ
16:07:54
「ただ酒が残ったまま仕事には行くんじゃないぞ、それで死んだら後悔するってレベルじゃないしな」にやっと笑って
#
16:08:52
「ありがと~、そうするね、ラズぅ」
 
 そうして、いくつか他愛もない話をしながら、杯を重ねること暫し。

 やがて、ミリーは幸せそうな顔で、カウンターに突っ伏して寝息を立てはじめ、
 バーテンダーは慣れた様子で、その肩に毛布をかけたりしていた。
 酒代はミリーが出したため、無銭飲食で〈ブタ箱〉に送られることもなさそうだ。
 
 別れ際の様子を以て、数ヵ月前の回想から意識を引き戻そう。
ラズ
16:09:39
ナイーブさんルートから外れてしまったか
16:11:23
「(ミリーがいなかったらどうなっていたか、ほんとに危ないとこだったよな)」
#
16:14:34
 

〈現在――〉
 
16:14:46
 
 あのときの、赤みの差した、生気に溢れた笑顔は、今はもうない。
 表情を浮かべることなく滾々と眠るような、青白い顔があるのみ。
 
 普段は背へ流している赤い髪は、仕事の折には編み上げているのだろう。
 横たわる彼女の、唯一といっていい色彩であるそれは、丁寧に結われてある。
 
 操霊術師の儀式は、不断に続く。
 その陰々たる詠唱を聴きながら、待つしかできない。
 
 戻るのか。
 戻らないのか。
 
 ラズには、待つことしかできない。
 
ラズ
16:15:37
「(待つしかできんってのはもどかしいもんだな、まったく・・・)」
16:16:29
壁に腕を組んでもたれかかりつつ
16:19:07
「(突然いなくなったら残されたり方はどうすればいいのとかいいながら置いていく気かよミリー、ちゃんと戻ってこい・・・)」
#
16:19:16
 
 この世界において、死は不可逆のものではない。
 が、必ずや訪れるものであるという理そのものは確かだ。
 
 死と共に、魂はその記憶・未練の多くを捨て去り、自由となって輪廻の大河へ向かうという。
 奇しくも、仕事から解き放たれたミリーが、酒精に酔い潰れ、緊迫を忘れて夢へ旅立つように。
 操霊術師の呼びかけに、魂が呼応するかどうかを決めるのは、
 そうした上でも手放すことのできないような、未練、執着、目的などがあればこそだ。
 
 君の回想は、再び、過日を彷徨う……。
 
16:19:24
 

〈数週間前――〉
 
16:21:07
 たいていは酒場でしか会うことがなかったミリーだが――
 いちど、歌を聴かせるという話になり、
 酒場ではちょっと、ということで、別の場所で落ち合う運びとなっていた。
 
 それは郊外の丘陵かもしれないし、あるいは、浜辺などかもしれない。
 ラズは、何処へと誘っただろうか。
ラズ
16:23:05
「じゃあせっかくだし、郊外にでも行こうぜ、南区のはずれくらいに景色のいい場所があるんだ」
16:24:33
「いつも夜の酒場でばっかり会ってるからな、たまには外のお日様の下で美味い空気でもすいながらあおうぜ」
16:24:56
「帰りに市場で飯でも買い食いしながらさ」
#
16:27:27
 牧畜などが営まれる田園風景が広がる、ブランブルグ南区。
 緩やかな丘陵が時折に波打つ、牧草の敷かれた平原……夏の名残を未だ失わぬ緑が広がる。
 
 ミリーは快諾し、晴れ渡った蒼穹の下、此処で待ち合わせたのだった。
 デートという意識はないのだろう、メイスなどを帯びたいつもの格好だったが、
 手料理らしき、サンドイッチが詰まった小さなバスケットを提げていた。
 
「いい天気ね! 風が気持ちいいー」
ラズ
16:28:41
「太陽の下で見るミリーも別嬪だな」いつものように褒めて
16:29:10
「何もって来たんだ、それ?」バスケット指差して
#
16:30:58
「太陽の下で見るラズの仮面も別嬪だねー」
 
 あははー、とミリーは笑って、
 バスケットについて、ちょっと照れたふうに、
 
「お弁当だよ。ラズの分もあるの。口に合うかはわからないけれど」
ラズ
16:32:22
「仮面だけ褒められてもな、ほー、ミリーが作ったのかそいつは楽しみだな、いろんな意味で」にやっと笑って
16:33:11
「俺は正直者だからちゃんとまずかったらまずいというから安心してくれ」
#
16:34:40
「だって、素顔、半分しか見せてくれないんだもん。
 人は誰でも、そうなのかもしれないけれどね。あたしも含めて」
 
 小さく溜息をついて、バスケットを脇に置き、
 
「うん、あとで食べようね。
 それじゃ、さっそく、始めよ?」
 
 一対のメイスを、両手に構えた。
ラズ
16:34:42
どんなにまずくても、意地でも女の作ったものは我慢して食べてまあまあだなくらいまでは言うけど
16:35:27
「隠し事のある男の方がミステリアスでもてるだろ?」
16:35:38
「おう、聞かせてくれ」
16:35:53
適当な岩に腰掛けて
#
16:38:24
「そうなのかもね!
 あたしは、一緒に生きていて楽しい人なら、いいかなぁ」
 
 ――と、小さく首を傾げて、
 
「ちょっと、ラズもちゃんと構えて。
 手合わせしたいって言ったの、そっちじゃない」
 
 ミリーにとって、歌を聴かせるというのは、今は、そういうことらしかった。
ラズ
16:38:56
「・・・マジかよ、そうなるのか」
16:39:58
「それじゃあ食事前の運動と行くか、その方がメシもうまく感じそうだしな」
16:41:15
「胸を借りる気持ちでやらせてもらうぜ」
16:41:34
立ち上がってメイスと盾を構えて
#
16:41:38
「そうなるって?」
 
 と、ぱちくりとしていたが、続く言にこくこくと頷いて、
 
「うんうん。それじゃ、いっくよー!」
 
 戦闘準備と、魔物知識判定が可能だ。
 先制値は13ゆえ判定できなさそう。
ラズ
16:42:14
戦闘準備はなし
#
16:42:19
 組手のようなものであり、実際は寸止めなどで負傷させたりすることはない。
 HPの減少などは、イメージトレーニング的なものだ。
ラズ
16:42:30
魔物知識判定 メリー
16:42:35
ミリー
2D6 → 3 + 4 = 7
16:43:16
「レディーファーストだ、かかってきな」
#
16:45:43
 技倆は読みきれない。少なくとも冒険者レベル5以上であるようだ。
 
 ――陽射しに赤い髪を閃かせ、ミリーは身軽に間合いを詰めると、
 シャラシャラと響く楽器鎚を素早く繰り出した。
 右手の初撃は《囮攻撃》で命中力11、左手の追撃は命中力13だ。

「それそれ~」
ラズ
16:46:07
回避 右手 (HP:51/51 MP:18/18 防:11 )
2D6 → 2 + 6 + 【6】 = 14
16:46:24
回避 左手 ペナー1
2D6 → 1 + 6 + 【6-1】 = 12
16:46:35
ナイスな囮だ!
#
16:47:55
「当たりー。むう、残念」
 
 楽素が昂揚と鎮静それぞれとなるため、実質、次の手番に持ち越せない。
 打撃点――
2D6 → 5 + 1 + 【7】 = 13
ラズ
16:48:11
「ぬおっ」 (HP:51/51 MP:18/18 防:11 )
16:48:39
「それで終わりか?じゃあこっちも行かせて貰うぜ」 (HP:49/51 MP:18/18 防:11 )
#
16:48:49
 軽いステップと共に、ミリーは楽器を構え直す。
 ラズの番だ。
ラズ
16:49:44
キャッツアイ・マッスルベアー起動 ターゲットサイト起動 全力攻撃宣言 1Hメイスでミリーに攻撃します (HP:49/51 MP:18/18 防:11 )
16:50:09
「手加減は無しで行くぜ!」命中
2D6 → 2 + 3 + 【9+1+1】 = 16
#
16:50:25
「わわ、すごい迫力……!」
 
 回避力は15だ。防ぎきれず、捉える。
ラズ
16:50:55
「オラァ!」ダメ (HP:49/51 MP:18/18 防:11 )
18 = 3 (1 + 3 = 4) + 【9+2+4】 威力 : 25
16:51:23
「まだまだぁ!」追撃のスパイクシールドパンチ 命中
2D6 → 2 + 2 + 【6+1+1】 = 12
16:51:33
こっちははずれ
16:52:26
「ちっ、こっちは外れか」行動終わり (HP:49/51 MP:18/18 防:11-2 )
#
16:54:35
「すごいね……ボルグ以上!」
 
 実際に直撃していたらと思うと、ミリーの額を冷や汗が伝った。
 
「それなら、これでどうかな」
 
 メイスを小刻みに打ち振り、娘の唇が穏やかな歌声を紡ぐ。
 伴い、ペットの虫がリンリンと伴奏した。
 【アンビエント】――抵抗失敗時は以降の命中-1。
2D6 → 4 + 3 + 【8-4】 = 11
ラズ
16:55:13
「これは・・・呪歌って奴か!」精神抵抗 (HP:49/51 MP:10/18 防:11-2 猫熊1/3)
2D6 → 5 + 1 + 【7】 = 13
16:55:56
「良い歌だなミリー、聴き入っちまいそうだぜ!」
#
16:56:40
 ラズが知るような戦場には不似合いだろう、心を穏やかにする魔力を帯びた歌声だ。
 もっとも、実効までは及ばぬよう、耐えたが。武器楽器でなければどうだったか。
 
 ――歌いながら、娘は嬉しそうにしていた。
 ラズの番だ。
ラズ
16:58:06
「行くぜぇ!」ターゲットサイト起動 全力攻撃宣言 1Hメイスで攻撃 (HP:49/51 MP:10/18 防:11-2 猫熊1/3)
2D6 → 4 + 4 + 【9+1+1】 = 19
16:58:23
ダメ (HP:49/51 MP:8/18 防:11-2 猫熊1/3)
21 = 6 (2 + 5 = 7) + 【9+2+4】 威力 : 25
16:58:55
「オラオラ!」追加のスパイクシールドパンチ 命中
2D6 → 3 + 5 + 【6+1+1】 = 16
#
16:58:59
 歌唱中でなければ、「速っ」とでも声を上げていそうだった。
 実戦であれば、かなりの手傷だっただろう。
ラズ
16:59:07
ダメ (HP:49/51 MP:8/18 防:11-2 猫熊1/3)
21 = 7 (5 + 6 = 11 クリティカル!) + 3 (3 + 2 = 5) + 【9+2】 威力 : 13
16:59:35
「両手使えるのはこっちも同じだぜ、ミリー!」
16:59:41
終わり
#
17:02:33
 シャンッ――と、ひときわ大きな音を響かせ、パラスマラカがスパイクシールドと打ち当たる。
 防いだように見えるが、実戦であれば間に合っていなかっただろうと、どちらも知る。
 ミリーは呪歌のフレーズを結ぶと、降参~、というふうに腕を上げて、困ったように笑った。
 
「さすが~。うーん、終律までぜんぜん歌えなかったね!
 ラズはやっぱり、強いなぁ」
ラズ
17:04:03
「男はかわいい子の前ではいいところみせようと実力以上なものが出るものなんだ」 (HP:49/51 MP:8/18 防:11-2 猫熊1/3)
17:04:42
「良い歌だったぜミリー」
17:06:29
「というか俺のは一人で戦うためのもので、ミリーのはPTで戦うのにむいてるものだしな」
#
17:06:48
「……んもー。かわいいとか言われたら、女の子は喜んじゃうものなんだよ。
 ラズ、そのうち、背後から刺されそう」
 
 あたしはメイスだから刺せないけれどねー、と無邪気に目を細めて、
 
「ありがと! 別に、戦わないと歌えないわけじゃないけれど、こう……
 ……普段の、あたしを、ちょっとしてほしかったなって、そう思って。
 えへへ、あたしたちコンビだったら相性よさそうだよねー」
17:07:40
「ちょっと知って、知って、だよ。噛んじゃったじゃない」
ラズ
17:08:02
「そうだな、お前に最初に歌ってもらって俺が壁になって時間を稼いで、そのあと一緒に手数で攻めるって感じでありだな」
17:08:20
「俺はそう簡単に倒れないしな」
17:09:45
「多少さされるくらいなら可愛いものさ、さ、飯にしようぜ」
#
17:09:57
「当てやすくする呪歌とか、傷を治す歌も使えるから。臨機応変~。
 それじゃ、うん、食べよ、ラズ。
 食べ終わったら、故郷にいた頃に、唄ってた歌とか、聴かせるね。
 呪歌じゃないし、つまらないかもしれないけれど……」
ラズ
17:10:36
「いやいやつまらないわけないさ、そのためにきたんだしな」
17:11:20
「俺はお前の見た目も声も好きだぜ、性格もな」
17:12:11
「で、何を作ってきたんだ?」
#
17:13:15
 ミリーは、草原の斜面に並んで腰を下ろし、バスケットを開けた。
 丁寧に揃えられたサンドイッチが入っている。
 野菜と、潰し卵をメインにした、家庭的な味わいのものだ。
 故郷の村では、ごく普通の農家の娘だったらしいのが、これまでの付き合いでおおまかに分かっている。
 
「そ、そんなにダメ押しでベタ褒めされると、戸惑っちゃうよ……。
 なんだか、照れちゃうし……んもう、ラズって慣れてるよね。
 あは、あたしも、あなたのこと、けっこう好きだけれどね!」
ラズ
17:14:17
「それなりに年も取って経験もあるからな、うん、美味い美味い」もぐもぐ
17:16:12
「相思相愛って奴だな、この料理美味いな、どうやって作るんだ?」
#
17:16:20
「たんと召し上がれ~」
 
 ミリーも、全体の量からすれば2割程度だが、行儀よく食べている。
 たくさん食べるだろうと思い、残りはもともとラズ用であったようだ。
 
「うん、ピクニックみたいで楽しいね。
 殺伐としてない、こういう時間も、いいなぁ」
ラズ
17:17:43
「・・・そうだな」
17:18:42
「また来ようぜ、次はまた別の場所に誘うぜ」
#
17:18:57
 相思相愛――には、小さく噴き出して笑っていた。
 予想外の言葉だったのだろう。
 
「そうくるかぁ……! うーん、愛って、よくわからないけれど、お互いに好きなら、それがいちばんかなぁ。
 あ、これはね、レタスと、薄く切ったトマトをを挟んで、卵を――」
 
 楽しそうに答えて、レシピの話をした後、
ラズ
17:19:34
「ただ食ってるサンドイッチも手間隙かかってんだな」
#
17:20:16
「うん……また、どこか、いっしょに行ってみようね」
 
 風に惑う赤毛を片手で押さえ、屈託なく微笑んで言う。
 
「別の場所――かぁ。
 ね、そういえば、聞いたことなかったかも。」
 ラズは、こう……夢とか、ある?」
ラズ
17:20:48
「夢・・・夢ねえ・・・」考え込んで
17:21:37
「ガキのころからずっと戦場で戦ってたしな、生き残りたいってことしか考えてこなかったな」
17:22:22
「冒険者になってからは大分余裕ができたんだが戦うことしかしらんしな、夢と言われても・・・」
#
17:23:23
「なにかを目指したり……成しとげたかったり。
 そういうものがあってこそ、つらいときも、がんばれるものだと思うんだ」
 
 空っぽになったバスケットを閉じて片付け、聞いていた。
 
「そっかぁ……じゃあ、ラズの夢は、生きたい、生き続けたい……なのかな」
17:24:35
「あは、そんな無理に断定するようなことじゃないんだけれどね!
 言葉にしてみると、もやもやしてたものが、自分でも、しっくりくる……ってことも、たまにあるし」
ラズ
17:24:36
「まあそうだな、でも今はこうやってミリーとかとまた楽しく会いたいという理由があるから生きたいんだろうな」
17:26:05
「人に聞いたんだからミリーも答えてくれよ、お前の夢は何なんだ?」
#
17:27:06
「ラズさんがまたナチュラルに口説いていますー……」
 
 くすくすと、小さく肩を震わせている。
 もちろん、語調は柔らかく、そんなやり取りを楽しんでいるふうだった。
 
「でも、あたしが……ラズが生きたいって思う理由の隅っこにでもいるなら、
 それはそれで、うん、誇らしいというか……なんだか、うれしいな」
17:27:26
 それから、困ったふうに目を伏せて、
 
「あたし……あたしかぁ……」
ラズ
17:28:02
「別に言いにくいなら言わなくてもいいぞ」
17:29:49
「秘密のある女も魅力的だしな」
#
17:30:43
「うん……夢って、ほどじゃ、ないんだけれどね。
 あたしの家、田舎の村でね、兄弟姉妹も多くて……あまり、お金、ないんだよね。
 歌を褒められて有頂天になって、街で歌姫になれたら、みんなを養える……とか、思って、出てきたんだ。
 結果は、うん、前に話した通りだけれど――
 ――あと、なんでもかんでも、思わせぶりな秘密にすればいいってものじゃないでしょ!」
ラズ
17:31:29
「くくく、良いツッコミだな」
17:31:56
「何で冒険者なんてって思ったが金を稼ぐためだったんだな」
#
17:33:50
「ミリオネアって名前だって、父さんが、いつか大金持ちになるぞーって願いで、付けたそうだし。笑っちゃうよね」
 
 ちょっと恥ずかしげにはにかんで、
 
「うん、あと、これでもけっこう、自己顕示欲っていうか……喝采願望とかあるのかも。
 褒められるとね、コロって調子に乗っちゃう。その結果、ラズに口説かれる毎日なのでした。
 じゃなくて、ほら、名声があるって、なんだか、単純に、気持ちいいじゃない。
 あたし、認められてるんだなーって、必要とされたりしてるんだなって……子供っぽいかな?」
ラズ
17:35:21
「いいや、立派だと思うぜ、お前は良くやってるよ」
17:36:46
「家族のために色々やってるお前のことを笑うやつがいたらぶん殴ってやるよ」
17:37:17
「俺にもそんな兄弟がほしかったもんだぜ」
#
17:38:36
「そうかな……? えへへ、そうだと、いいな」
 
 笑顔を返した後、ミリーは蒼穹を仰ぎ、遠くを展望するような声で呟く。
 
「いちどは挫折したけれど――
 いつかは、一回でも、劇場の舞台に立ってみたい。
 あのときは下手だったけれど、それなら、練習して、上手になればいい、はず。
 冒険者を引退したら、歌姫になりたいな。家族も養えて、拍手ももらえるような、歌姫に。
 ……えへへ、ありがと、ラズ。いつかその日が来たら、最前列に招待するね!」
ラズ
17:38:49
「だけどあまり油断はするなよ、ようやく一人前になったとたん気が大きくなって新兵のときにもやらなかったミスして死んだやつを何人も見てきたからな」
#
17:39:25
「むむ……肝に銘じておく。
 傭兵さんが言うと、重みが違うね……」
ラズ
17:39:45
「ああ、それは楽しみにしているぜ、ただお前がどんなに有名な歌姫になっても俺は変わらず口説いてやるからな」にやっと笑って
#
17:41:57
「あは、その頃には、ラズも有名な冒険者になってそう!
 ……うん、そうなっても、また、たまに、こんなふうに、しようね。
 約束~」
 
 ミリーは、こつんと、おでこ同士を当てるふうにする。
 故郷での、約束を交わすときの風習であるらしい。
ラズ
17:42:36
「ああ、約束だ」仮面越しになりそうだが
#
17:44:04
「でもでも、ミスするなんてことはないよ、きっと。
 お師匠さんに、秘伝の技も教わったしね! あとは、魔域の破片が集まれば、ミリーさんは敵なしなのです」
 
 力こぶを作ってみせる――あまり目立たない細腕だが。
ラズ
17:44:55
「無理はすんなよ、後はもう少し筋肉つけようぜ、肉食え肉」
17:47:09
「魔域は危険だし何が起こるかわからんっていうからな」
17:47:50
「俺もアビスシャード見つけたら分けてやるよ」
#
17:48:19
「むー、これでもけっこう鍛えたつもりなんだけれどなぁ……。
 どうしても、歌の練習を優先しちゃうからかな」
 
 成長時に精神力を選ぶ的に。
 ともあれ、ミリーは、そっと立ち上がると、ラズへ向き直り、
 
「お話、聞いてくれて、ありがと。
 自分で言った通り、かも……口にしてみると、こう、なんだか、形を持つね、夢って。
 ――それじゃ、歌を披露するね! こほん、どうぞ口説かずご静聴を~」
17:48:50
「えへへ、楽しみにするね!」
 
 砕片については、こくこくと頷いた。
ラズ
17:48:57
「厳しい注文だぜ」黙って耳を傾ける
#
17:51:58
 
 ――そして、穏やかな風が吹く草原を、ミリーの明るい歌声が渡っていった。
 故郷に伝わるそれらの歌は、素朴で、温かく、どこか郷愁を誘うような節だった。
 何処とも知れぬラズの故郷へと、想いを馳せさせるような。
 それがどのような土地なのかは、空想するしかないとしても。
 
 あの歌声が、まだ耳に残っている。
 君の追想は、また今へと戻る……。
 
17:52:06
 

〈現在――〉
 
17:53:32
 死者を呼び戻すための儀式は、半刻が過ぎようとしていた。
 低く続いていた操霊術師の詠唱は、徐々に高まり、力ある言葉を以て術を結ばんとしている。
 
 答えは、もうすぐに出る。
ラズ
17:55:06
「(まだ俺は口説き足りんぞミリー、こんなとこでくたばってないで生き返ってくれ・・・)」
17:57:10
「(他の場所にもまだ誘えてないし・・・、行く予定の場所は一杯あるんだぞ)」
#
17:59:00
 
 執着、未練、目的。
 ――総じて、人を生かすものが夢であるというならば。
 今もまた、その力は発揮されようとしていた。
 
 石膏像のように横たわる、冷たい娘の頬に、あえかな血色が滲みはしていないか。
 その静止した瞼を縁取る睫毛が、微かに震えはしなかったか。
 
 それが、あの日、交わした言葉と約束によってもたらされたものなのかまでは、分からない。
 だが、答えは――娘は、背理であろうとも、今生の道行きを選んだようであった。
 
 彼女の、穢れの影響を定めよ。
 経過日数や既存の穢れの影響はないため、2dのみだ。
 
ラズ
17:59:27
穢れ表
2D6 → 1 + 4 = 5
18:00:41
よしよし
18:01:00
「(ん・・・今動かなかったか?)」
18:01:31
寄りかかっていた壁からはなれて
#
18:02:05
 角や痣の類は、見て取れない。
 鼓動が紡がれ、血が通い、呼吸が始まる。
 触れずとも、青褪めた肌に、体温が戻りつつあることが分かる。
 
 ミリーは、ぼんやりと上体を起こし……
 ……胸元から滑り落ちかけた布を、反射的に片腕で押さえた。
 
 不思議そうに周りを見回し……ラズを見ると、まばたきする。
 
「…………夜這い?」
ラズ
18:02:41
「そうだ、夜這いだぞ、受け入れてくれるか?」冗談っぽく行って
18:03:11
「気分は悪くないか?体は問題なく動くか?」
18:04:05
「よくやったなあんた、ぶん殴らなくてすんだよ」>操霊術師に冗談で言って
#
18:04:54
「ど、どうしようかなぁ……そういうのは、結婚前にしちゃダメじゃないかなぁ……」
 
 大真面目に考え込んだふうだったが、もう片手で額を軽く押さえて、
 
「んん……、あれ……酔い潰れた翌朝……じゃない、ね。夜だね……。
 それに、この場所……、…………夢じゃなかったんだ」
ラズ
18:05:40
「残念だがな・・・」
#
18:05:50
 操霊術師は、黙然と会釈を返したのみで、
 レブナントの類にならなかったことを見届けた後、儀式の場を辞した。
 後のことは、任せるのだろう。
ラズ
18:06:57
「お前は死んだ、そして今蘇生されたとこだ」仮面越しだが目をしっかり見て伝えよう
#
18:08:17
「そっか……、あは、実感……ないもの、だねー。
 最期の瞬間を憶えてないって、ほんと、なんだね……。
 あ、でも、憶えてたら、一生、うなされるかぁ……」
 
 まだ少しぼんやりとした様子だが、意識はしっかりしているようだ。
 
「……見守っててくれたんだ。ごめんね、ラズ。
 寝顔どころか、死に顔を見られちゃった……」
ラズ
18:08:54
「次はかわいい寝顔にしてくれよ、もう死に顔は見たくないからな」
18:09:51
「みたところ穢れの影響は出てないみたいだな、角も痣もないな」布一枚のみで隠された体をじろじろ見る
18:10:19
「布のしたには現れてないか?」
#
18:10:37
「前向きに、検討します……。
 ……実感きたら、泣き顔になりそう。
 それはさすがにみっともないから……、……あと、着替えますのでっ……、あとで、外で……」
 
 布を支える腕に力を込めて、頬と耳に限っては、血の気がだいぶ増した。
18:11:21
「じ、自分で調べるよ」
 
 ぷいっとした。
ラズ
18:11:31
「ああ、あとでな」
18:11:42
外にいわれるまま出る
#
18:13:53
 
 では――
 
 暫しを経て、夜風が緩やかに廻る路地にて。
 冒険者の武装などはことごとく換金されて失われたため、
 普通の村娘のようなブラウスにスカートといった姿で、ミリーは側へ来た。
 
 最初に、深く頭を下げる。
 
「お金のこと、聞いたよ。……ごめんね。ありがと……」
 
ラズ
18:14:15
「金のことなら気にするな」
18:14:41
「最初に会ったときのこと覚えているか?」
18:15:56
「あの時お前に次は奢るといったのに断られてから今まで借りを返せてなかったからな、ようやく借りが返せて肩の荷が降り立ってとこだ」笑って
18:16:28
「いったろ?俺は借りを何倍にもして返す男だってな」
#
18:19:51
「………………ばか」
 
 ミリーの唇から零れた言葉は、泣き出してしまいそうなふうに揺れて、だが、柔らかい響きだった。
 ひとたび目を閉じて、ゆっくりと頷く。
 
「そうだったね。ラズ、約束……というか言葉を、守ってくれたんだ。
 ……あたしも、なんとなくだけれど……戻ってきた理由にね、あなたとの約束も、あったかなって……。
 あ、でも、イヤじゃない……かな? ほら、穢れちゃった、し……」
ラズ
18:20:09
「・・・穢れか」
18:21:00
「お前は穢れで相手を差別するのか?」
18:21:48
「それだったら俺との仲もここまでだな」仮面を外して痣をみせて
18:23:33
「お前に色々えらそうに一人前になってミスして死ぬ奴を見てきたとかいったが俺もその一人さ」
18:24:59
「俺が素顔をみせる相手はベッドを共にするやつだけって決めてたんだがな」仮面戻して
#
18:25:11
「村にいた頃はね、やっぱり、よくわからない、悪いものだって、恐かったかも。
 でも、冒険者になって、いろんな人に会って……穢れそのものは、心とは関係ないって、思えた。
 優しいナイトメアの人もいた。ひとを護ることを誓って戦った名誉人族もいた。
 でも、誰もが、そう思うわけじゃ――」
 
 ラズへと答える声は、仮面が外されると、ひとたび途切れた。
 びっくりしたような眼差しだが、嫌悪や忌避は宿っていない。
 むしろ――
 ――手を差し伸べて、そっと、そこを指先でなぞった。
 
「……そっか。
 うん……うん。そんなとこまで、仲良し、だね」
18:25:50
「え、ええー……、そんな、ラズが勝手に見せたんだよぉ」
 
 あたふたした。
ラズ
18:26:26
「穢れもちの先輩として困ったことがあれば聞いてやるからいつでもいえよ」
18:26:56
「お前にはこんな跡が残らなくて良かったよ本当に」
18:27:46
「あんまり俺の素顔がかっこいいからってなでなくてもいいぜ」笑って
#
18:28:25
「あは……ラズには悪いけれど、そうだね、歌姫になれなくなっちゃうし。
 ……あ、でも、仮面の歌姫っていうのも、かっこよかったかな」
 
 素顔の方については、のーこめんとですっ、と、ぷいっとした。
ラズ
18:29:10
「それでこれからどうするんだ?悪いと思ったが装備も売っちまったしな」
18:29:33
「今の格好もいいが・・・」
#
18:31:18
「うんと……あのね、あのときのお返しっていうなら、
 働いて、あとでお金を返すって言っても、ラズは受け取らない……よね」
 
 今の格好――には、スカートの左右を摘まんで、えへへーと照れたように笑ってみせる。
 表情がくるくると変わる娘だ。
 
「それなりの腕になったつもりだし、引退して、もう一度、歌姫を目指すつもりだよ。
 それでね、それでね。
 あたしにはもう必要ないし……他に、できそうなお礼も――
 ――あるけれど、それは、その……アレだから……
 と、とにかくっ、ええと……」
ラズ
18:31:53
「もちろん受け取らんぞ、せっかく借りが返せたんだからな」
18:32:29
「歌姫になるのは応援してやるがどうした歯切れ悪いな・・・」
#
18:33:15
「逆だったら、あたしも、そう言いそうだなぁ……」

 ミリーは一つ深呼吸して、
 
「……それでね。せめて、お師匠さんに教わった技のこと、前に、ちょっと話したよね。
 それを、ラズに教えるっていうのは……どうかな。お礼に、なる……?」
ラズ
18:34:29
「まあ金は受け取らないがそういうのは貰うぞ、・・・歌じゃないよな?俺は歌えんぞ」
18:35:04
剣の師匠とは聞いているが
#
18:36:37
「あは、ラズの歌も、いつか聞いてみたいな。
 うんうん、そっちも、手取り足取り、お姉さんが教えてあげてもいいぞー」
 
 どう見てもミリーの方が年下だが、さておき。
 大きく頷いて、

「わかった! それじゃ、教えるね。
 技っていっても、扱い方のコツみたいなものだよ。
 ラズなら、あたしよりずっと使いこなせそう」
ラズ
18:37:12
「歌は勘弁してくれ、ああ、教えてくれ」
#
18:39:34
 そうして、彼女がどのような技を教えたのかは、終幕ののちに記そう。
 今は――
 
 ――ミリーは、これくらいならしてもいいかな、と勇気を出したのか、
 ラズの腕を軽く抱く……豊かな質感が、腕に伝わる。
 そして、頬を少し染めつつも、屈託のない笑顔で言う。
 
「まずは、飲みに行こ! ね!」
ラズ
18:40:06
「そうだな、あの酒をまたのみに行くとしようぜ」
18:40:31
「そうだミリー、冒険者はもう引退なんだよな?」
#
18:41:57
「うん。武具とか、もうないしね。
 それに……どこかで、引き際っていうか、歌姫の道を戻る踏ん切りを、待ってたのかもって思う。
 きっと、今が、そうなんだよ」
ラズ
18:42:23
「ということはだ・・・、もう色恋も解禁だな、ここに魅力的なナイスガイがいるぜ?」冗談っぽく言って歩き出す
#
18:44:36
「しまった……!」
 
 と、少し変わったリアクションだったが、ミリーはもう少し頬を赤くした。
 考慮します、とか、お友達から、とか、もごもご言っている。
 
「……じゃなくて、もともと、もう、お友達だよね。
 あたしはそのつもり。ラズは、大切な、友達。友達ですっ。
 だから……これからも、無事でいてね」
ラズ
18:45:21
「まずは友達からってとこだな」
18:45:44
「無事でいるさ・・・、約束だ」オデコをぶつけて
18:46:12
「俺は女との約束は守るからな」
#
18:47:25
「ん……」
 
 目を閉じて、そっと額を重ねた後。
 ミリーは柔らかく笑って、
 
「二言目には口説くんだからー。
 ――それじゃ、行こ。
 変わらぬ友情に、乾杯!」
18:47:31
 

 
友 end.
 
 
ラズ
18:48:14
おつかれさまでしたー!
#
18:48:38
 
 経験点:1000+60=1060
 報酬額:-2500+a
 名誉点:20(のちに有名となる歌姫と親しい)
 
ラズ
18:50:07
とりあえず所持金を6750から4250に減らしておきました
#
18:51:01
 お疲れ様でした!
 
 ミリーが教えてくれる戦闘特技は、《武器習熟A/アビス》
 さらなる力を得れば、それをより使いこなせるだろう。  
 http://www.piyosword.com/wiki/index.php?%E8%A3%85%E9%A3%BE%E5%93%81%EF%BC%8F%E6%89%8B#b9ba0d92
18:51:55
 組み紐は、故郷に伝わるものなのだとか。お守り代わりに。
ラズ
18:52:34
これはありがたい
18:52:43
生きねば!
#
18:54:57
 端的にいえば、ミリーが蘇生に応じる条件は、
 歌の披露こと組手で負け、自分の戦闘での限界を悟ること、
 そして夢を語り合って、約束を交わすこと。
 これからもたまに、酒場やピクニックなどで会ったりすることでしょう。
 恋愛は……ラズも引退するまでは……もじもじ。
ラズ
18:55:50
引退はまだ出来ないからお友達だなぁw
TOPIC
18:56:20
友  経験点:1060 報酬:2500(実質) 名誉点:20 by GMペナルティ
ラズ
18:56:38
私ならもう引退してマネージャーにでも転向しそうなんですけどね!
#
18:57:35
 Pになろう。
 というわけで、ご参加ありがとうございました!
 これからもどうぞよい冒険を。
ラズ
18:58:24
こちらこそありがとうございました、回そう中の台詞をうまくつなげれて満足でした
18:58:44
とっても楽しかったです、またお願いしますね
18:58:53
それではお先に失礼します
SYSTEM
18:58:57
ラズ様が退室しました。
#
18:59:09
 こちらこそー。ではでは!
SYSTEM
18:59:12
GMペナルティ様が退室しました。
ラズ
20回
30回
42回
53回
61回
73回
83回
90回
100回
111回
120回
13回平均6.538
他(NPC)
20回
30回
40回
50回
61回
71回
80回
90回
100回
110回
120回
2回平均6.500
2d6分布
1 + 1 = 2
0.00%
1 + 2 = 3
0.00%
1 + 3 = 41回
6.67%
1 + 4 = 51回
6.67%
1 + 5 = 6
0.00%
1 + 6 = 71回
6.67%
2 + 1 = 3
0.00%
2 + 2 = 41回
6.67%
2 + 3 = 51回
6.67%
2 + 4 = 6
0.00%
2 + 5 = 71回
6.67%
2 + 6 = 81回
6.67%
3 + 1 = 4
0.00%
3 + 2 = 51回
6.67%
3 + 3 = 6
0.00%
3 + 4 = 71回
6.67%
3 + 5 = 81回
6.67%
3 + 6 = 9
0.00%
4 + 1 = 5
0.00%
4 + 2 = 6
0.00%
4 + 3 = 71回
6.67%
4 + 4 = 81回
6.67%
4 + 5 = 9
0.00%
4 + 6 = 10
0.00%
5 + 1 = 62回
13.33%
5 + 2 = 7
0.00%
5 + 3 = 8
0.00%
5 + 4 = 9
0.00%
5 + 5 = 10
0.00%
5 + 6 = 111回
6.67%
6 + 1 = 7
0.00%
6 + 2 = 8
0.00%
6 + 3 = 9
0.00%
6 + 4 = 10
0.00%
6 + 5 = 11
0.00%
6 + 6 = 12
0.00%
合計15回平均6.533
2d6合計分布
20回
0.00%
30回
0.00%
42回
13.33%
53回
20.00%
62回
13.33%
74回
26.67%
83回
20.00%
90回
0.00%
100回
0.00%
111回
6.67%
120回
0.00%
1/2d6分布
15回
33.33%
26回
40.00%
36回
40.00%
45回
33.33%
55回
33.33%
63回
20.00%
発言統計
その他(NPC)100回35.1%14735文字75.5%
ラズ185回64.9%4775文字24.5%
合計285回19510文字

ログ作成者