依頼は、偽のものでした。
　同行していた冒険者さん、アマネさんという方が、脅されて致し方なく、冒険者を襲うために手引きをしていた——ということだったのです。
　アマネさんの良心と勇気ある行動のおかげで私たちは難を逃れ、首謀のオーガを倒すことができました。アマネさんは責任を追及されて謹慎ということになりましたが…それで済んでよかったです。
　裏切られたら許せるか——その問いに答えるのは難しいとも感じました。私は、アマネさんを恨んではいません。彼は私たちを助けてくれましたし、今も償いをしています。けれどもし、仲間のうちの誰かが命を落としたあとだったら…私は同じように彼を許せるのでしょうか？
　かもしれない、の話が無意味なことは理解しています。あのあとマイルズさんを交えてアマネさんとお話して、やっぱり、彼と仲間になれて良かったと思うのです。アマネさんが本当に幸せな日々を送れるように尽力したい。もう理不尽な暴力を振るわれてそれに屈することがないようにしたい。
　友達になってほしいと言われて、私も、とても嬉しかったのですから。