一人の女性を犠牲に得た勝利。
納得済みとはいえ、中々に苦いものであった。
あれから多少調べてみたが、センティアンと言う種族はそもそも、
予め使命を持って生まれ、その為に人生を費やし終えると言う。
であれば、彼女は己の使命を果たし終え、然るべくして神の身元に戻ったという事か。
そう考えれば、元より命の物差しが違うのだ。上手く行ったと見送るのが正しいのだろう。

…しかしながら、彼女は一体どれ程の年月を生きたのだろうか。
直接接した上での推測でしかないが、恐らく見た目よりは短いのだろう、と思う。
例え見た目通りであったとしても、その程度の月日で己が使命を果たし殉じられるとは…
我ながら、浅薄極まる身勝手な感想だが、実に羨ましく思ってしまう。
それに引き替え、散りもせず、積る事も無く彷徨うばかり。この身のなんと無様な事か。
…まあ、人によっては、この尽きぬ定命も喉から手が出るほど欲するものなのだろうが…。
欲する物ほど手に入らぬとは、なんとも儘成らぬものである。

幸いな事に、始祖神様のお陰で生まれてすぐに間引かれずに済み、
此度も盾神様に認めて頂いた様にも感じられた。
いや、私の気のせいかも知れないが。
いずれにしろ、所詮消え去れぬ塵が如き命であれば、
せめて見苦しく無き様、見栄え程度は整えねばなるまいよ。